なぞっている。
昔の自分の体験を。
風邪を引いて保育園を休んだ日、おばあちゃんが両親の代わりに見にきてくれた。
頭がガンガンして、好きなテレビもずっと見ていると気持ち悪くなってしまって。
でも、家が好きで。
お昼寝した後、お母さんだったら外に出してくれないけど、おばあちゃんは特別に住んでいた団地の、ベランダから見える共同の芝生の庭みたいな場所で遊んでいいよって言ってくれる。
ベランダから数分おきに見にきてくれて、大丈夫?大丈夫?って聞かれて、私はひたすら芝生の間に生えている草から豆みたいな種をとって、だいじょーぶ、だいじょーぶ。って答える。
その時の風景と、風と、匂いを、
今、自分の子どもと一緒にいる時にふと、思い出す。
仕事をやめてから、もっと思い出すようになっている。
なぞっているな。生活の、根元の、幸せの、想い出。
お昼と病気。お日様とおばあちゃん。